●雨の中のロフォーテン諸島
地図を見ていると、どうも気になる島があった。
ヴェストフィヨルドと呼ばれるノルウェー北部の地域で、ヴェステローレン諸島とロフォーテン諸島だ。日本では名前も聞いたことがない島だったが、ノルウェーの豪華客船ヒュッティルーテンもこの諸島のいくつかの街に停泊することを知った。ノールカップで出会った外国人からも、「もし時間があるなら、この島へは行ったほうがいい」と言われたくらいだ。
ただ国道を南下するよりも、島を経由した方が面白そうだし、あまり事前情報がなかっただけに、(何か新しい発見があるかもしれない!)と期待して、行くことにした。
ヴェステローレン諸島の北部アネネスから、ロフォーテン諸島のセルヴォーゲンまでおよそ300キロの距離だ。島なので、移動はカーフェリーを使う。それほど大きくないフェリーなのだが、案外、利用客が多い。地元ノルウェーのキャンプカーがほとんどで、これほど人が集まるのはやはり有名なんだろうなと思った。
アネネスのインフォメーションセンターで、この島々の写真が目に入った。フィヨルドをバックにした漁港の写真だ。日本とは違うデザインの船がずらりと並んでいるだけでも珍しいのに、背景にフィヨルドが写っているので、とても趣を感じた。この島の特徴を示した素晴らしい写真だ。ぜひこの目で見てみたいと思った。
実際に、車を走らせると、巨大な岩がボクらを迎えてくれる。まるでこの島は、すべてがこんな岩でできているのではないかと思うくらい、岩が目に入ってくる。ごつごつした岩の塊が荒々しい雰囲気を感じさせてくれる。これがフィヨルドを間近で感じることなのかと思った。
しかし空は、あいにくの曇り空。青い空が見られないのが、何ともくやしい、、、
最高の被写体がすぐ近くにあるのだが、雲や霧、もやでその全貌が見られない。結局その日は、北側のヴェステローレン諸島を一気に縦断して、翌日に期待した。
翌日も朝から雨。ロフォーテン諸島の主要都市スヴォルヴァールにやってきたが、天候が晴れる気配は一向にない。街のインフォメーションセンターは、たくさんの観光客でにぎわっている。皆、ホエールウォッチングなどのサファリツアーに行きたかったようなのだが、ツアーキャンセルが続出しているような様子だ。ボクらも、気軽に行けるハイキングを探したが、この天候では、何も見えない・・・。
せっかくのこの島にやってきたのに、何もせずに通過するのはもったいないと、予定を変更してもう一日滞在することにした。天気が晴れれば、絶景にも対面できるし、何かの発見があるかもしれないからだ。
しかし、翌日も朝から雨。まるで台風がやってきているのではないかとと思うくらいの激しい雨風だ。おまけに、大事な‘せかたび号’は屋根から雨漏りが・・・。どうやら、後部ガラスと天井との間にすき間があって、そこから雨が入ってきたようだ。車内にコップを置いて、しのぐ。
雲の動きが早い。昼すぎに、青空が見えたと思ったが、ほんの数十分で、またどんより雲に覆われた。フィヨルドの岩に残った万年雪をバックに、漁港の写真を撮りたいのだが、この天候では難しそうだ。明日こそと期待して、さらにもう1泊することにした。
しかし・・・
翌日も雨。どうやら、この時期は、こんな天候が多いらしい。まるで日本の梅雨のようだ。この島でよく見かけた写真や絵はがきのような絶景は、なかなか対面できないようだ。インフォメーションセンターのスタッフに「まだ数日続くようだ」と聞いて、あきらめて移動することにした。物価の高いノルウェーで無念の撤退だ。
長い世界一周旅行をしていると、こういうこともあるだろうと客観的に考えるのだが、美味しいものをお預けされてしまった少年のように実に残念だった。期待してやってきたロフォーテン諸島は、雨風というベールに包まれたままである。
きょうさん♂
■コメント
ロフォーテン諸島とはなかなかオツな場所に行かれましたね。羨ましい。
ただ、この島の名前を聞いたことがないというのは高校で「地理」の授業は選択されていなかったのですね? ここは高校生にとってはソグネフィヨルドやノーるカップなどよりも有名な場所なのです。サケ漁の基地ですよね。
北極圏内は昼間でも日本の冬のような日差しですよね。普通の人は、ここで生活すると心を病んでしまうようです。
投稿者 Когда-нибудь на мосту Мойки : 2005年07月17日 14:20
夏至の頃、スヴォルヴァーからオーまで旅行しました。確かに、天候は悪いし、寒い。6日間滞在しましたが、傘が要らなかったのはたった一日。ロフォーテンの天候は変わりやすく、雨が振っていたと思うと雲が切れてきて、太陽が顔を覗かせる数時間に恵まれたりする(その逆もあります)。晴れているときの眺めは絵はがきにあるとおりの素晴らしさ。太陽が真夜中に出ていたときは、まぶしい太陽光と驚くほど美しい空に感動しました。物価が日本の二倍はするノルウェーですが、ロフォーテンへは、少しゆったり目のスケジュールで行かれることをお奨めします。遠路はるばる来て、雨に降り込まれて帰るのでは、勿体なさ過ぎます。
投稿者 テーブルの下の犬 : 2006年07月29日 17:13
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