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 ホーム > せかたび日記 > ●祝!シベリア鉄道乗車A
2005年06月21日
●祝!シベリア鉄道乗車A

DSCF4662.JPGボクらがコンパートメントに入ったとき、スーツ姿の男性が窓の外を見ていた。乗客のひとりだ。

「キョウジです」。

そう手を差し伸べると、「アングレイ」と言って、照れくさそうに微笑みながら、握り返してくれた。無表情なイメージが強いロシア人だが、アングレイの場合は、どことなくやさしい雰囲気を感じた。彼の第一印象だった。英語はあまり話さないそうだ。

「旅行者なの?」とアングレイ。

「そう、モスクワまで行くの。あなたは仕事?」ボクは言った。

「まぁね、途中のクラスノヤルスクで降りるんだ」

DSCF4647.JPGアングレイは3泊ではなく、ほんの1泊ということらしい。あとで聞いたら、普段の移動は飛行機だが、この日は運航されていなかったので、はじめてバイカル号を使うことになったらしい。ボクらにも、なぜ飛行機を使わないんだ?と不思議がっていた。確かに移動時間の長い列車は退屈に感じるかもしれない。それでも異国の列車に乗るということは、未知の空間を感じることができて、旅情をかきたてられるのだ。

ともに、たどたどしい英語での会話だった。アングレイは窓の外を見つめるので、その会話以降、お互いの時間を過ごしていた。日が暮れ、最初のカップラーメンの夕食を終えたころ、アングレイが部屋を出て行った。

しばらくして戻ってくると、手に持っているのは、チェスだった。そしてベッドの下から上にいるボクを見上げて、「チェスやらないか?」と言ってきたのだ。

(おぉ!なんて気が利くんだ! ぜひやろうじゃないか!)

なんて言いたかったが、やり方を知らない。昔、チェス入門を読んだことはあるのだが、習得はしていない。将棋ならできるんだが、チェスのやり方をイチから教えてもらえるほどの余裕はなかった。

苦笑い。残念だけど、丁重にお断りをした。その後、アングレイはロシアのことを聞いてきた。「ロシア、好きかい?この国、どう思う?」。

ボクは驚いた。イルクーツクでロシア人と関わる限り、どことなく冷たい印象を持っていた。だからロシア人は、自分の考えがすべてで、他人の意見など聞かないタイプだと勝手に思っていたからだ。それだけに、(これはロシアを知るいい機会だ!)と思って、ベッドを降りて、彼と話をすることにした。

「日本ではあまりロシアの情報がないこと」「言葉の壁が大きいこと」「だからこそ、ロシアを知りたくてやって来たこと」などを伝えた。アングレイは、「ロシア人が英語を勉強していないのがこの国のひとつの問題なんだ」と言った。そんな客観的なコメントをするアングレイがまた意外だった。

DSCF4694.JPG22歳のアングレイは、弁護士だそうだ。「この国は貧しい。だから幸せになることが夢なんだ。でも幸せって難しいよね」。そんな話を聞いた。なんてしっかりした考えを持った奴なんだろう。ボクが22歳のときに、そんな考えを持っていただろうか?いや、恥ずかしながら、持っていない。。。共に流暢に英語を話せないので、ところどころ沈黙がありながらも、そんな話をしていた。

ボクもビールを飲みたくなって、買いに行こうとした。すると、アングレイが英語が伝わらないからと、ロシア語で車掌さん伝えてくれた。各号車にドリンクやスナックが置いてあるのもシベリア鉄道の特徴のひとつだ。しかし出してくれたビールは箱の中からで、決して冷たいビールではなかった。ボクは買わなかった。すると不思議な顔をしたアングレイ。「なんで買わなかったの?」。だって、冷たいビールはおいしくないからだ。

会話を続けていると、「ちょっと待ってて」と、アングレイはまた部屋を出て行った。そして5分ほどして戻ってきた。今度手にしていたのは、冷たいビールだった。「レストランにあったんだ。For you! 」。(いやぁ〜 まいったなぁ・・・ なんだか気を使わせてしまったみたい・・・) それでも、楽しそうな顔をしているアングレイの様子に甘えることにした。

ボクは、この旅で世界地図を持って移動している。アングレイは、その地図を見ながら、ロシアの魅力を語ってくれた。「ボクが住んでいるクラスノヤルスクも、おもしろい街なんだ。モスクワやサンクトペテルブルグよりも面白いと思うよ。今度、来ることがあったら、ぜひ連絡してね」。そう言って、メールアドレスと携帯番号を書き残してくれた。なんだか、うれしくなった。ほんの数時間しか話していないのに、そうやって迎えてくれるアングレイの気持ちがうれしかった。

DSCF4669.JPG翌朝、アングレイの降りる駅に近づいた。シーツを丁寧に畳み、ベッドを片付けるアングレイ。几帳面な男だ。シベリア鉄道の停車時間は長い。ホームまで見送ると、きれいな建物が見えた。「あれは○○なんだよ。あっちは○○なんだよ」。アングレイはホームから見えるクラスノヤルスクの街並みを紹介してくれた。クラスノヤルスクのことはまったく知らなかったが、彼のおかげで身近に感じることができた。もっと言うならば、ロシアという国が近くに感じたような気がする。

「モスクワでも気をつけてね。よい旅を!」。さわやかな笑顔とともに、さっそうと立ち去るアングレイ。スーツの後ろ姿がビシッと決まって、かっこよかった。いいロシア人、いい男、いい人間に会えてよかった。そしてこの写真を、彼のメールへ送る準備をしている。

きょうさん♂



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