●生死を考えるガンジス河
ヒンドゥー語で「ガンガー」と呼ばれるガンジス河。
ガンジス河の光景をきょうさんに見せたくて、7年ぶりにやってきました。
コルカタから夜行列車に乗って14時間。ヴァラナシ駅に着きます。そこから、サイクルリクシャー(自転車の後部にふたり乗りの荷台がついている三輪車)に乗って、ガンジス河の近くまで行こうと思っていたんです。そしたら、ヴァラナシ駅で出迎えてくれた、多くのリクシャーたちのボッタクリ攻撃が始まったんです。
サイクルリクシャーの相場は、20ルピー(約54円)と聞いていたんですが、「50ルピー」ばっかり。ほかのサイクルリクシャーに頼もうと想っても、グルになって、みんな「50ルピー」。
そんな戦いに疲れ、私は今回も大声を張り上げてしまった、、、
確か、7年前も同じように、怒り、怒鳴ってしまった私を覚えています。ということは・・・、7年前から、あんまり成長していないんかなぁ〜
「まぁ〜 まぁ〜」と、横でなだめてくれるきょうさん。はじめてなのに、なぜか、そんなインド人と紛れては、楽しそう。。。
そんなこんなで、ようやく20ルピーのサイクルリクシャーに乗って、たどり着いたガンジス河。
きょうさんは、はじめてみる光景にビックリしたみたい。私も、相変わらずの汚さを感じつつ、ここにやはり特別の空気が流れているように見えました。
ガンジス河のそばでは、夜にプージャー(礼拝)が行われています。太鼓などの音とともに演じられるまるで炎のショー。熱そう・・・ なんて感じつつも、礼拝と聞いて、じっと見守っていました。24時間、賑やかなガンジス河です。
翌朝、ガンジス河越しに昇る日の出が観たくて、ボートに乗りました。早朝は、観光客向けにボートも無数に用意されている様子。私たちは、ふたりでボートに乗せてもらってガンジス河を遊覧しました。
地平線から昇ってくる、真っ赤な朝陽。ガンジス河の湖面をピンク色に染める光景を目に焼き付けていました。ガンジス河沿いにつづくガートを見るには、こうやってボートに乗って眺めるのが一番いいように思います。
早朝からガンジス河で沐浴している人々。みんな、家族や友人の幸せを願って、沐浴しているんだと思います。
その日の午後、火葬場へ行きました。
ヒンドゥー教では、ガンジス河の聖なる水で沐浴すれば、すべての罪は浄められ、遺灰がガンジス河に流されると、輪廻からの解脱を得るといわれています。
ヴァラナシに、年間100万人を超える巡礼者が訪れ、その中には、ここで死ぬことを目的としている人さえいるんです。
そんな最高の、幸せな死に方をした、ヒンドゥー教の人々の葬儀が、この火葬場で、私たちの目の前で行われています。
竹で作られた担架に運ばれてくる死体。死体には派手な布がかぶせられ、いったんガンジス河の水に浸したあと、火葬場に組まれた薪木の上に載せられます。
死体の上にも薪木が重ねられ、火を点火。しばらくすると、バチバチと音を立てながら、組み木が燃え上がっていきます。もちろん、白い布でぐるぐるに巻かれた死体は、あっという間に墨で黒くなり、時間が経つごとに形を失っていきます。
丸い頭蓋骨が見えたり、大腿骨が飛び出てきたり、あばら骨に残るまばらな肉が見えたり。最後まできちんと燃えるように、焼ける死体を竹竿で突つき、動かしながら、3〜4時間ほどで、死体は灰だけになります。
喪主さんらしき人が、残った灰の大きな部分をガンジス河へ投げ、ガンジス河の水を素焼きのつぼですくい、くすぶっている灰の上に5回まいていました。
すべてがそうやって焼かれるわけではなく、ボートに運ばれ、ガンジス河の中ほどで重石と一緒に投げ込まれる死体もありました。
そんな光景に取り付かれたように、私たちは見入っていました。一体どのくらいの時間が経っていたんでしょうか? きっと3時間くらいは、見ていたと思います。
7年前も同じように、私はずっと見ていたんですが、あの時は、この光景にビックリしたのと、ヒンドゥー教の輪廻回生の意味をずっと考えていたような気がします。
火葬場のすぐ横では、牛が、まるで温泉に浸かっているような感じで、ガンジス河に浸っていたり、その横では人々が洗濯をしています。また、その横では、沐浴している人がいて、楽しそうに遊んでいる子どもたちがいます。
そんな、生と死が一緒になったガンジス河。
じっと眺めていて、気づいたら涙が出ていました。
今回は、きょうさんと一緒に見て、しっかり生きて、幸せに死んでいきたいと思っていました。
死んだ人が悲しいから涙が出ていたんじゃない。きっと、死者たちの顔が、最高の幸せをつかみ、喜んでガンジス河で死んでいくように見えて、涙が出たんだと思います。
ここに来ると、生と死について本当に考えさせられます。
何度も手を合わせ、お宿の前では。塩で自分たちの体をお清めしました。そんな私は、やはり仏教徒なんですね。
塩でお清めしている姿をインド人が見て、日本人がそんなことをしているのは、初めてみたよ!と驚いていました。こんなことしている人、いないのかなぁ??
ゆっくりと流れるガンジス河。
ここは、いろいろ考えさせてくれる聖なるガンジス河ですね。
たかさん♀
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■コメント
読んでいて、たかさんの出来た人間性が読み取れるような文章でした。
広い目で見れば、人が死ぬことは別段珍しいことでもなんでもない。
普段は忘れているけれど、死は誰にでも訪れる。
読んでいて、そんなことを考えさせられました。
投稿者 ユーイチ : 2006年10月25日 01:00
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