●キリマンジャロ登山の成功
「ようこそ、アフリカ大陸最高峰の地へ!」
キリマンジャロの山頂ウフルピークについた瞬間、ガイドのバリイはそう言って握手を求めてくれました。360度が雪と氷河に囲まれる世界。(ここに来たかった・・・) その想いが実現できたと思うと、素直に
うれし涙が流れてきました。
●
(アフリカ大陸最高峰の景色を見てみたい!)
そう自分への挑戦を志したものの、
(ボクは、5,895mの地に立てるのだろうか?)
そんな不安がありました。過去にマラソンをしていたこともあり肺活量には自信があったものの、日ごろの運動不足や筋力不足が心配でした。また普段、口呼吸をしているので、脳に酸素が送られにくいことも不安で、高地で十分な酸素を得られるんだろうかと気をもんでいたんです。
決めたテーマは三つ。
「ゆっくり歩くこと」
「水をたくさん飲むこと」
「しっかり深呼吸すること」。
それでも初日夜からナーバスになっていました。どこでも寝られるタイプなのに、山小屋では眠れないんです。毎晩、何度もトイレに行っていました。一日で勝負が決まるのではなく、四日後にベストの体調を持ってくる必要があったので、そういう意味で自己コントロールすることが求められるんですね。
「ナーバスになっている?」
三泊目に同室となったオランダ人ドクターも同じ気持ちだったようで、「明日を迎えるだけさ」と共に励まし合いました。
それでも、山頂アタックを控えた四日目の夜、4,700mの地では、風邪の兆候でよくあるような寒気、金づちで叩かれているような頭痛に襲われました。(ついに、きてしまった、、、このままでは登れない・・・)。まるで、苦労してつくった砂のお城が波にさらわれてしまうように、ボクは悲しみに浸りました。でも、あきらめたくなかった・・・。
高地でも、いつもと変わらない元気なたかさんが動いてくれたおかげで、ドイツ人から強めの頭痛薬をもらうことができました。数時間後、復活!深夜の出発を迎えることができたのです。あとは登るだけ!
動きがロボットのようになってしまうくらい着込んでいても、深夜零時からの登山は氷点下に達して寒かった。標高を上げるにつれて空気は薄くなり、肺は使っていくマヨネーズチューブのように小さくなっていきました。呼吸が苦しく、体力が奪われていきます。
スゥ〜〜 はぁ、、、 スゥ〜〜 はぁ、、、
進んでも、進んでも、たどり着かない山の頂。深夜から山頂アタックは六時間、希望と不安が交錯する時間でした。
その不安を解消してくれたのは、ここまでやって来るのに関わってくれた人々、その人たちの笑顔でした。不思議と、初日から出会ってきた人がVTRのように現われてきます。
ボクらの体調を初日からずっと気にかけてくれたガイドのバリイ。山の中でも十分すぎる食事を用意してくれたポーターさん。山小屋で語り合った各国からの登山者。そして、ボクらとすれ違うように下山していく方々。彼らの笑顔を見ていると、この登山への満足度がひと目で分かるんです。(ボクらもあのような笑顔になれるんだろうか? いや、なりたい!)そう願っていました。
日本からやって来られている方々。「がんばってねっ」「しんどいけど、それを楽しんで!」「ポイントは‘ゆっくり’だよぉ」「このダイアモックス(高山病予防薬)使ってください」「寒さに注意です」、たくさんの励ましとアドバイスをもらってきました。
そんな皆さんの笑顔が浮かんでくるんです。
そして、「お前もがんばれっ!」って自分を鼓舞させることができたんです。
●
ウフルピークの看板が見えたとき、胸がこみ上げてきました。感動して泣いてしまうと、酸素を余計に使ってしまいそうなので、(泣いたらアカンで!)とか思ってました。でも泣いてしまった・・・。
アフリカ大陸最高峰は、想像もしなかった世界でした。雪国。氷の世界。それに、だんだんと明るくなっていくサンライズはとってもきれいでした! カメラセットするのに必死でしたが・・・(笑)。
「地上5,895mの世界が見たかった」
それが達成できたこともうれしいけれど、それに向かって数日間を乗り越えられたことが何よりの成果でした。
目標を達してゲートへ戻る途中、ガイドのバリイに聞いてみました。「どうしてボクたちは、ウフルピークへ行くことができたと思いますか?」
バリイは白い歯をこぼして言いました。
「それは、君たちがウフル(ピーク)へ行くことを描いていたからさ」。
そこで何を見たいのか、何がしたいのか、それがはっきりとしているならば達成しやすいということらしいのです。
確かにボクらは描いていました、ウフルピークに立つ自分たちの姿を。そこで見たかった光景、撮りたかった写真、それを描き続けたからこそ、たどり着けた気がします。
この朝山頂アタックをした登山者、24名。ウフルピーク到達者、8名。女性はイギリス人女性とたかさんのふたり。しっかり呼吸して、一生懸命登る姿は格好よかったです。山小屋で祝福をうける到達者たち。初日から笑顔のたかさんは、ひと際人気者で賞賛の嵐。欧米人に比べると身体の小さいたかさん。それでも一番大きく輝いていました。おめでとう! 一緒に達成できて光栄です。ありがとう!
●
下山するボクらとすれ違うように、上りはじめる登山者がいます。
「がんばってください!」
今度はボクらがエールを送る立場です。疲れ果てた足腰を隠し、満面の笑みで彼らの到達を願うのでした。
きょうさん♂
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トラックバック時刻: 2006年03月13日 19:34
■コメント
キリマンジャロ登頂おめでとう。日本にいると5,895mの登山とは?全く想像もつかない世界です。二人の熱い思いが天候も見方につけたのかな?その想像もつかない世界が、このエッセイを読み、何だか身近なものに感じることができました。(もちろん二人と同じことはできないけど)今は、充分に体を休めて今後の旅に備えて下さい。本当にお疲れ様でした。
投稿者 あきと : 2006年03月17日 00:12
あきとへ
コメントありがとう〜
いまだ余韻が覚めやらぬ・・・
あきとと一緒に行ったグランドキャニオン渓谷も思い出す、世界の魅力でした。
投稿者 きょうさん♂ : 2006年03月28日 15:40
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